2024.09.22

“藤森式”樹皮葺き竪穴住居をつくろうワークショップ

ワークショップへのご参加は満席になりましたので締め切りました。
たくさんのご応募ありがとうございました!


舞台は、長野県茅野市、八ヶ岳の麓の与助尾根遺跡公園。
縄文時代のくらしを紐解くヒントを感じられる、茅野市はもちろん、世界にとっても大切な場所。

そこに、この秋、竪穴住居をつくります。
生きるための行為を、自分たちの手とその延長にある道具を使って行っていた縄文人に倣って、できるだけ自分たちの手で。参加されるみなさまの経験やアイデアを活かしながら。

全てというわけにはいきませんが、住居作りの作業自体も、当時の人々が使っていた材料や道具を使用する予定です。
屋根は茅ではなく、この地域の屋根にも使われていた防水性の高い白樺などの樹皮を使う。木の伐採には石斧を用いる。組み立てには藤蔓を。そしてその準備も可能な限り参加者と一緒に行います。

講師には茅野市出身の建築史家・建築家の藤森照信先生をお招きし、さらに、大地とくらしをつなげる活動をされているプロの方々にもご協力いただき全8回のワークショップで仕上げます。

出来上がった、“藤森式”竪穴住居は、縄文を感じながらの滞在など、皆様と共に楽しみ育める場所になるよう企画中です。

プロジェクトの一員として一緒にワークショップを楽しみましょう!

ワークショップの概要・申込方法
1回のみの参加も大歓迎!

◆日 程
9月14日(土)素材を得る 樹皮・材木編(終了)
9月15日(日)素材を得る ツル編(終了)
9月21日(土)骨組みをつくる その1(終了)
9月22日(日)骨組みをつくる その2(終了)
10月12日(土)骨組みをつくる その3(終了)
11月2日(土)屋根をつくる 樹皮葺き&土葺き その1(終了)
11月3日(日)屋根をつくる 樹皮葺き&土葺き その2(終了)
11月4日(月・祝)屋根をつくる 樹皮葺き&土葺き その3(終了)
11月16日(土)草を生やす 植栽編(満席)
11月24日(日)完成を祝う (満席)

◆対 象:小学3年生以上の方(お子様お一人で参加希望の場合はご相談ください)
◆参加費:大 人3,000円/人・各回(ランチ・保険料・消費税込み)
     こども3,000円/人・各回(ランチ・保険料・消費税込み)
     親 子5,000円/人・各回(ランチ・保険料・消費税込み)※高校生以下のお子様とその保護者
◆キャンセルポリシー:3日前50%・前日70%・当日100%
◆定 員:各回30名
◆申込み:満席になりましたので募集を終了いたしました
※持ち物等詳細は参加者へ個別でご案内いたします

◆主 催:一般社団法人ちの観光まちづくり推進機構
◆後 援:茅野市

DAY1-1

初日はまず、藤森式地鎮祭を行いました。「お~」とお腹から息を地面に届けるという初めてのスタイルで参加者の皆さまもドキドキ、わくわくしている様子で始まりました。
作業としては、屋根材として使用する檜の樹皮の皮むきを2人1組で協力し合って行いました。

DAY1-2

午後からは、柱や梁となる材の切り出しです。井戸尻考古館の館長さんにお手伝いいただき、石斧を使って、20人がかり、約1時間で直径15㎝ほどの檜の木が無事に伐採できました。道具が自分の体に合っているかどうか、刃の大きさや、尖り具合、そしてその使い方などによっても変り、色々と感じることの多い時間となりました。

DAY2-1

2日目は柱を固定するためのロープの役割をはたす材として、藤蔓を取りました。湿気があるところに生えるということで、水源近くの斜面での作業でしたが、半日で軽トラ一杯の蔓を確保できました!

DAY2-2

午後からは、使用する材を使える状態にする作業です。写真は柱になる栗の木の皮むき。皮があると虫が発生したりして、柱の寿命が短くなるということで、使用する木は全て皮をむく必要があります。また、藤蔓は使いやすいように裂いて、水に浸しておく準備をしました。

DAY3-1

3日目はいよいよ柱を立てます。
まず、木どりという、どの木をどこの部分の柱にするのか、梁にするのかなどを藤森先生を中心に決めました。続いて、棚畑遺跡の31号住居に基づいて4か所柱の穴を掘りそこにみんなで柱を運んで建てました。高さを合わせながらでしたが、柱が立つといよいよという感じでみんなの気持ちが高まりました。

DAY3-2

午後は、梁の上の小屋組みといわれる部分の短めの木を決めて皮をむいて、太くて重さのある柱や梁のあちこちのバランスをとりながら、長さや幅などを調整しながらの作業は専門家チームに担当してもらいました。参加者はそのやり取りを横で見ながら、垂木やロープとなる藤蔓をすぐに使えよう準備をしながら見守りました。
夕方17時頃になんとか棟上げ終了!
藤森先生曰く、日本では棟上げが終わったら建物が建ったことになっていたとのこと。それを聞いてみんなわーい!となったところで記念撮影をしました。

DAY4-1

4日目は昨日組んだ柱を、藤蔓で縛る作業からスタート。とっくり結びという方法で濡れている藤蔓を使って縛ることで、乾燥した時にギュッと締まるという作戦です。藤蔓は柔らかさを維持するために長いこと水につけていたので、バナナの皮のようななんとも独特な香りです。
さらに、篠竹(これは縄文時代にも存在していたといわれています)を割って堰板代わりにする材を用意しました。こちらも道具や竹との相性がポイントとなる作業でした。

DAY4-2

午後は、竪穴住居の中を整える作業がスタート。床面になる土をきれいにならして、周溝という穴を周りに掘って、そこに竹を立てかけ、さらに、その立てかけた竹を編むようにして横に竹を這わせていきました。「しがらみ」という言葉の語源になった編み方だそうです。
参加者みんなで声を掛け合って、協力し合ってとてもいい時間になりました。出来上がってみると家らしい雰囲気でなんだかかっこいいものが出来上がりつつあります。
次回が楽しみです!

DAY5-1

急遽開催することになったこの日は、少数精鋭で実施しました。
午前中は、藤森先生をはじめとするプロフェッショナルチームのメンバーで、住居の上部、小屋組み部分の固定を進めていただき、その間に参加者の皆さまと追加で必要になった樹皮を剥いたり、柱用に皮を剥いたり、藤蔓を干したりしました。
リピーターの方も何人かいらして、細かい指示をしなくても「お任せあれ!」と一つ返事で取り掛かっていただけてなんとも頼もしいです。

そして、この日は緊急特別企画として、縄文のプロ、こと小薬先生から、からむしから繊維をとる方法、縄文時代の土器についていた白えごまの脱粒なども習って、衣食住にまつわることを少しづつ体験できたスペシャルな回となりました。

DAY5-2

そして、午後は垂木に対して垂直になるように、檜の枝を乗せていきました。この木のことを「桟(えつり)」といいます。垂木と桟であみあみにした上に、樹皮と土を乗せていくので、住居の下のほうは間隔を狭くして、上に行くに従って少し広めに乗せていきます。とはいっても、檜も生竹のようにはしならないので、2人組で押したり引いたりして、密着するようにしていきました。
結ぶ紐も、結び方も一工夫あって、そういうことがだんだん身について、こういうことの積み重ねが、自分でやっていける!という何かを育んでいくのではないかと感じられる時間でした。
入口部分の柱もできて、住居らしい形が見えてきました。
11月がますます楽しみです!

DAY6-1

大雨予報だった11月の連休初日。
「縄文人は雨なんて気にしていなかったはずです」という藤森先生のお言葉もあり、雨でもできることを進めましょうということで、外班と中班に分かれて住居作りを進めました。
中班は青少年自然の森の屋内施設をお借りして、住居の中に敷くむしろを編みます。材料は杉の皮。結ぶものはシュロ縄です。この作業を進めやすくするために前日に編み道具を、先生のご友人の工務店の方が作ってくださいました。見た目はまるで、木製のハードルです。そこに、カットした杉皮を入れて、縄でねじって、を繰り返してながーい敷物をつくっていきます。
そして、事前にスタッフが準備した、住居内の型紙にあわせて、おいていきカーブの部分をカットしたりしながら調整して夕方前には完成しました!
住居の中は靴を脱いで過ごすので、完成したむしろの上をはだしで歩いてみたりして、思い思いに感触を確かめたり、豪雨の中でも楽しい時間となりました。

DAY6-2

外班は竪穴住居の中での作業です。
参加者の皆さまには、カッパや長靴をご用意いただきましたが、それでもこの時期にしてはかなりの大雨だったので、住居にシートやパラシュートをかけて水が中に入らないように工夫をしたり、道具置き場までの道には木の板をおいて歩きやすくしたり。。。
薄暗い中でしたが、竹を切ってしがらみの竹の高さがそろうように補充して、結ぶ。えつりや柱を結んでいる長すぎる紐を切る。入口などのこまいをする。などのこまごまとした作業を進めました。寒さもあり、泥だらけにもなって、温泉日和となりました。外で頑張ってくださった皆様には本当に感謝です。

そして、この日のランチは、ビーガン料理が得意なおひさまやさん。室内に集合して、あたたかい場所でみんなで美味しくいただきました。

DAY7-1

秋晴れとなったこの日は、いよいよ屋根作り。
内側から見たときに樹皮の表面が見えるように、そして防水や郷土のために外側にもう一枚。さらに、屋根の場所によって、ひのき、さわら、杉を使い分けて使用。
土を斜面に盛ると、流れ落ちてきてしまうので、それを防止するために、ほぼ等間隔で地面に対して平行に、カットした樹皮を置いて土を盛っていくという方法を採用しました。先生のご友人と海外の方がほぼ同時に考え出した手法だそうです。

こちらも、事前に、土を抑える長めの板に持ち手を付けたものと、土をたたくための道具を手作りしました。樹皮同士はどのくらいで重ねるのか、平行におく樹皮はどのくらいの間隔なのか、先生からレクチャーを受けて、みんなで並んで下から積み上げていきました。この時の要は土を運ぶ係。湿っていたこともありかなり重く男性を中心に頑張っていただきました。

DAY7-2

この日のお昼は、茅野市役所近くのアルジーさんのスパイス弁当。いろいろな香辛料がアクセントとして使われていて、大好評のお弁当でした。

午後からも土を屋根に盛る作業をコツコツと進めていきました。だんだん慣れて、参加者の中でリーダー的に皆さんを導きながら進めてくださるかたも出てきて、頼もしい限りでした。声を掛け合って20名程度で進めて、この日は約半周が完成。
先生からは、なかなか湿った土でできることがないのでしっかり積み上げられていて素晴らしい!とお褒めの言葉をいただきました。これが乾けばもっと固まってよいものになるとわかり、前日の大雨にも感謝しながら無事に7日目も終了しました。

DAY8-1

連休最終日のこの日は、屋根と住居内を同時進行で進めていきました。
屋根は前日の続きからスタート。屋根になる部分に樹皮と土を盛り、屋根と地面がなだらかにつながるように土台部分の土は削る。なだらかになったところで、土をさらにたたいたり、スコップでなでつけたりして固め、芝を乗せていきました。

前日からの参加者さんが、この日のリーダー。回を増すごとにリピーターさんが増えて、仲間が増えていくのもとても嬉しいことです。

そして、毎回楽しみなランチ。この日は、いもいもらんちゃんのカラフル弁当!ふたを開けた瞬間のみんなの笑顔が最高でした。

DAY8-2

そして、住居内では屋根ができてだんだん薄暗くなっていく中、粘土をつかった作業を進めていきました。
まずは粘土作り。土と水とスサ(藁がない時代なので素材は麻です)を混ぜて、適度な硬さにしたものを塗ります。今回使用するのは、棚と壁。
1か所目は、室内の棚、物置として使いそうなしがらみの上の平らな部分。こちらは少しゆるめにしたものを手でのせて、手で伸ばしていきます。板や鏝だと味がない。。。ということで縄文らしく手で、ということになりました。
2か所目は、窓の横とドア部分の横の土壁です。こちらは、少し硬めに作って両サイドから両手で抑えながらくっつけて、滑らかになでつけていきます。
コンパクトな住居なのですが、意外と粘土がたくさん必要でこの日はドア横の土壁の途中までで終了。

次回で作業はほぼ完了。ドアや窓、階段、などなど細かいことばかりですが意外と残していることは多そうです。ドキドキ。

藤森照信先生からのメッセージ

藤森照信先生からのメッセージ

この地に住む子供も、大人も、市民の皆さん。われわれの住まいが、その昔、といってもずっと昔、どんな姿をしていたか知っていますか。
それは縄文時代の竪穴住居であることが分かっていますが、その具体的な姿ははっきりしない点がたくさんあります。
不明な点を明らかにするためにも、自分たちで実際に再現してみませんか。昔の住まい作りは、今と違い、子供にも大人にも、誰にでもできる仕事がたくさんありました。
一般的な茅葺きの復元住居とは違い、藤森流とでもいうべき姿をしていますが、うまく出来たら、その中で食べたり寝たりしてみたいです。
この活動に参加した人は、21世紀末には起こるかもしれない文明の崩壊の時代に生き伸びることができるでしょう。 

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